2011
03
26

あの日の事

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 あの時は職場の席に居た。いつもの様にすぐに揺れは収まるだろうと気にも留めず、PCの画面に目を移し、文書の作成を続けようとした。

 すると、背後の窓枠の方から、「コッツン、コッツン、コッツン・・・」と、不可思議な音がした。最初は、今起きている事態が呑み込めなかった。

 「なんだか、いつもと違う」と感じ、速足で部屋を飛び出し外に出た。何百人も働く、この職場で外に出たのは10人程度、ちょっと気恥ずかしかったが、大地に立っている自分ですら酔いそうな位の横揺れが、何度も何分も続いた。

 「こんなのは生まれて初めてだ。マンションの10Fの三姫は、大変揺れただろう・・・」と思った。
 揺れが収まり、席に戻り携帯を掴んだ瞬間、奥さんから電話が入った「アイが・・・」

 「直ぐに向かう!」
 
 「早退します」と告げ、車に飛び乗った。高速でロスなく行けば20分で帰れるはず、だった・・・
 
 しかし、高速は入口は既に閉鎖されていた。
 
 仕方がないので下道へ、こちらだと40分は掛ってしまう。アイの事態を思うと、絶望的な気持ちが押し寄せてきた。
  
 
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 それでも前半は、道は空いており、いつもより早いペースで車は進めた。しかし、いつの間にか空はどんよりと雲が垂れ、海岸には黒煙が上がり、サイレンが鳴り響き始めた。
  
 伊勢佐木町、桜木町・・・

 横浜の繁華街の交差点には多くの人が集まっていたが、皆、不安げに周りを見渡し声が無かった。街から音が消え異様に静かだった。
  
 その中で壊れた警報の音が「チリチリチリ・・・・」と、鳴り続いていた。それはまるでスローモーションの映像の様だった。
 
 
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 ナビをみると、渋滞の真っ赤な表示が、どんどん増えて行き、「帰宅経路の半分残り20分」と思った頃、渋滞で前に進めなくなった。
 
 「アイを助けに行けない!間に合わない!アイにもう二度と会えないのか!また、猫と不幸な別れをせねばならないのか!」と、ハンドルを叩くしかなかった。
 
 動かぬ車の中より、自宅に電話(ナビより)するが、大変繋がりにくくなっており、10回程リダイアルしてやっと奥さんと話が出来た。
 
 「アイを無事救出した」と聞いた・・・
 
 極めて困難な状況だったため、俄かには信じられなかったが・・・とても安心した。
  
 それから2時間後、帰宅した自宅マンションは、電気・ガス・水道、全て停止していた。

 駐車場は機械式のため動作せず敷地内に止め、エレベータも動作せず10Fの我が家へ階段にて到着し、三姫の無事を確認した。
 
 防災備蓄や食料を、ほとんど置かず生活している夫婦ゆえ、まず夕食の確保で隣のコンビニへ、他の店が閉まっているにもかかわらず、この店は自家発電でレジを動かし営業を続けており、既に多くの人が長蛇の列を作っていた。自分も無言の列に加わり、主食類は既に無くなっていたので菓子類を確保。
 
 水は、マンション内の公園の蛇口が通じていたので、真っ暗闇の階段を10F迄で運んだが・・・三往復目(22時頃)で電気と水道が復旧・・・
 
 一家のための過酷な労働は、徒労に終わった。
 
 窓から見える橋の上の渋滞は、深夜零時を過ぎても続いていた。
 
 
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 下の写真は、昨年のクリスマス・イブの夜景。
 
今迄見た事無い位、たくさんの家の光が点灯し、まるで日本中に祝福が溢れている様に感じ、自分にも「一年間良く頑張っね」と言われているようで、とても感動しました(ただし、その中にも苦しい思いをされている人、猫が居るのは忘れた事はありませんが・・・)。
    
 それから、僅か2ヶ月ちょっと、まさかこんな状況になるとは・・・。
  
 
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 22歳裸一貫で上京し、我武者羅に頑張ってきました。時が経ち気付けば、家族が出来、自宅も構え、車にも乗れ、不幸な猫達の事も、一匹づつ助ける努力も出来るようになっていました。
 
 しかしその反面、若いころは、無尽蔵の様に投入できた力や時間も、仕事、体力、気力等、いろんなものに限りが見えてきました。そんなわけで、2月の初めブログ等をリセットし、充電状態に入りまいた。
 
 ただし、まだ遣り残した事、まだまだ遣らねばならない事もあります。
 
 そして一瞬で、頑張りたくても、頑張れない状況になった人々。それでも頑張らねばならない人々が沢山います。それを思えば・・・
 
 イキナリ、全速力には戻れませんが、また前に進める様に、顔を上げて頑張ります。
 
 
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地震後、もれなく♂に付いてくる感が増えた。アイぷ~です。
 
 
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[16] おそらく

アイちゃん・チビちゃん、皆様ご無事でなによりでした。ミルラさんのブログでご様子を知ったとき、涙が出ました。
当日のお写真の橋の向こう側のオレンジ色のひと際目立つ光は市原のコンビナート火災ですね。
私も多摩川沿いに住んでいますが、丸子橋より火柱が見えていました。あれから2ヶ月。。。これ以上の災害が起こらないことを祈るばかりです。

[43] 愛は夜空に放たれて届く

街の灯りは宇宙のように煌めき、人を家路に急がせる。にゃぱさまをただただ待つ人が居る。猫娘っこが居りまする。
呼応する両サイトからいつも愛をもらっています。ありがとうございます。
わたしはにゃぱさまほど猫を本気で、本当に人間の魂にも等しく愛する人は居ないと思います。人間に、動物に、一番必要なのは人間がいつも見失いがちな愛なのです。本当に愛を持った人をみんな求めています。にゃぱさまの愛をどうか、これからもわたしたちにください。いつもその愛に笑い、明日への勇気をいただいております。奥方様ほどハイセンスな方をこれまた見たことがありません。それを毎日感心し通しのわたくしです。美意識と愛の猫サイト、その灯がどうか消えませんように。お願いいたします。
にゃぱさまの人生と猫ドラマに乾杯! 敬具。
 

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